トイレットペーパーのストックから考える収納以前に大切なこと モノの持ち方、買い物の仕方
整理収納アドバイザー 後藤 史恵(ごとう ふみえ)
NPOハウスキーピング協会2級認定講師、
整理収納アドバイザー1級、インテリアコーディネーター、
カラーコーディネーター2級、福祉住環境コーディネーター2級
トイレは狭い空間の中にペーパーや生理用品、掃除用具と置きたいモノは多いけれど、スペースは狭いので収納には苦労する場所ですね。
今回トイレに何はともあれないと困る、トイレットペーパーの予備について話をしていきたいのですが、でも予備ペーパーの収納方法はあえて触れません。
実はトイレットペーパーは、収納の方法以前に大切なこと(モノの持ち方、買い物の仕方)について考え直すいい素材なのです。
ぜひこれを読みながら自分の場合はどうかご一緒に振り返ってみてください。
以前勤めていた建設会社でのお客様に子供が巣立った熟年ご夫婦がいらっしゃいました。
ご主人のお母様と3人で暮らすために老朽化した今の2階屋を平屋に建て替えるのをお手伝いしたのですが、ある程度プランが固まってきた段階の打ち合わせのこと。
奥様がトイレットペーパーを保管する物入れをトイレの外にも作りたいと言い出しました。
もちろんトイレの中にもストック置き場は設けてあるのですが、スーパーで安売りをする時に家族総出で買いにいくので、それでは収まりきらないというのです。
奥様が「ここに」と指す場所にご要望通りの半間(間口約90㌢)の物入れを作ると接する夫婦寝室がいびつな形になりますし、何よりもその分寝室が狭くなります。
もちろん建築面積を広げれば早い話なのですが、老後を維持管理の楽なコンパクトな家で暮らしたいという建て替えの趣旨からずれてしまう。
お客様のご要望を形にするのが仕事とはいえ、そのまま受け入れていいものかと、いろいろお話させていただいたのですが、まとめ買いのお徳感はかなり根強いようで、奥様も「あったほうが便利そうだし・・」と、プランも一向にまとまらない。
そこで切り口をかえてみました。
このお宅は坪単価でいうと一坪あたり50万円。半間のモノ入れは一坪の4分の1サイズですから12・5万円掛かっていることになります。
トイレットペーパーを安売りでまとめ買いして得られる利益はたかだか百円ちょっと。
保管場所の製作コストのもとが取れてお徳になるのは果たして何年先ですか?
この話を聞いた奥様は「それはモッタイナイ。それにやはり掃除の楽なコンパクトな家がいい」と、トイレットペーパー専用モノ入れを思いとどまりました。
そして、「買い物の仕方を考え直す良いきっかけになった」と後々感謝してくださっています。
私は以来トイレットペーパーの買い方に興味を持って、いろんな人に買い方やストックをどれぐらい家に持っているか機会があると尋ねているのですが、同じように安売りしていると家族総出で買いにいく家庭も少なくない。
総出とまでいかなくても、安売りがある度になんとなく買っている人は実に多く、「数えてみたら13袋(12個入りのパック)が今、家にあります」という人もいました。
その一方で「どこで買ったほうが1円安かったなんて後でショック受けるのもバカらしい。家の近くにドラックストアがあり、そこの一番安いペーパーは常に値段も一定だし、ストックが二個になった時点で買いに行く」というルールが決まっている方もいました。
たかがトイレットペーパー、されどトイレットペーパーなのですが、このことに今の収納や片づけにまつわる課題が凝縮されているような気がしてなりません。

